振り返り企画、小説編です。
以前読んだ小説を読みかえして、簡単にレビューしていきます。
ぼくにの3つめの大事な要素は、小説。
小説は小さい頃からよく読んでいて、ぼくの妄想力とか考え方の基礎になっています。
ケモノと小説の繋がりをもっと作りたくて、2020年のJMoFでは「おしぼん」という企画を、
今年は「ケモノストーリーコンテスト」を立ち上がるに至りました。
シンプルライフ・シンドローム
著:荒木スミシ
初版:2007年(1997年に自費出版、2000年に改訂版)
発行:ノンカフェブックス
今回はちょっと変わった作品を紹介します。
自費出版で数量限定で配布していたところ声がかかり、メジャー(幻冬社)で改訂版を刊行。
その後自身でインディーズレーベルを立ち上げ、そこで現在の版を刊行するにいたります。
現在はインディーズで刊行されているものなので、多くの本屋では手に入りません。
本書が注目されたきっかけは1997年に起こった、神戸児童連続殺人事件、通称酒鬼薔薇事件です。
犯人の少年Aが用いた「透明な存在」という言葉が本書に由来するのではないかという説がマスコミにより紹介されたのでした。(実際には関係なかったようです)
本書の内容は当時の青少年の苦悩を描いたものであり、「透明な存在」=「『誰か』になれないぼく」というテーマは現代にも通じるものがあります。
ただ、ぶっちゃけいうと小説としての出来はそこまでよくないです。(著者自身も稚拙であると言ってもいます)
ストーリーは抽象的で、描写は足りないし、オチも弱い。
だけどそれでも何度も読み返したくなるような不思議な魅力があり、今回紹介するに至りました。
自分は何者なのか、自分が生きている意味は、そんなことに悩んでいる人に是非とも読んでもらえたら嬉しいです。