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ばけもトレースその16:映画編6、アンドレイ・タルコフスキー「惑星ソラリス」

投稿日:2021年2月18日 更新日:

振り返り企画、映画編です。
過去に見た映画を再視聴して、簡単にレビューしていきます。

映画はぼくを作っている大事な要素のひとつ。
できれば映画館で見て、音、映像、空気、すべてを味わいたい!
映画はストーリーだけでなく、空間そのものを演出しているものだと思ってもらえるような紹介をしていきたいです。

「惑星ソラリス(原題:Солярис)」
監督:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:アンドレイ・タルコフスキー、フリードリッヒ・ガレンシュテイン
公開年:1972年
制作国:ソビエト連邦

1968年に公開されたスタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」を知っている人は多いだろう。
実は旧ソ連でも同じく宇宙を舞台にした映画が製作され、当時は比較して鑑賞される事が多かったという。
しかしながら、現在では独自の映画として評価されるに至っている、それがこの「惑星ソラリス」だ。
スタニスワフ・レムの「ソラリス」という小説をベースにしながらも、タルコフスキー独自の解釈でストーリーは構成されている。
なお、レムからはあまりの違いに苦情が入ったという。

舞台は惑星ソラリス。調査のためステーションが設立されるも、不思議な現象が多数起こり、長年調査が進まずにいた。
主人公はステーションに赴き、調査計画の継続可否判断をするというのが大枠の物語だ。
しかし、主人公もその不思議な現象に遭遇し、大いに苦悩する。
分類上はSF映画となるが、ミステリー、人間ドラマ、ちょっぴりホラー、そして愛の物語と様々な要素が入り交じる大作だ。

タルコフスキーは旧ソ連を代表する(後にフランスに亡命)映画監督だ。
タルコフスキーの作品はまず重厚、長大、そしてなにより美しい。
この作品も例に漏れず、非常に映像が美しく、どのシーンをカットしても写真として映えるような場面ばかりである。
ソラリスがもたらす怪奇現象を、無機質にもかかわらず曲線の多い絵で描くことで、主人公の苦悩と人類への愛が同時に表現されているのは見事である。

タルコフスキーは後に亡命し、そのままソ連に帰ることなく亡くなる。
しかし彼は死ぬときまで故郷を恋しがっていたという。
この作品からも故郷に対する強い愛を感じることができます。
ちょっと長めの作品ではありますが、SFが好きな方、重厚な物語が好きな方、美しい映像が好きな方、ぜひともご覧いただければと思います。

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